治りにくい?!自家感作性皮膚炎⑴
2013-10-12
皮膚科
今回は日常の診療から「自家感作性皮膚炎」の症例について述べる。
内科と比べると皮膚科は「いくつかの病院に行ったけれど治らない。」と訴える患者さんは多く、症状に該当する患者さんがいらした時には必ず基本的な全身検索を行うことにしている。 実は多くの患者さんが待っている現場では医者もスタッフも何とか早くに患者さんを診てあげなくてはとスタッフ全員が忙しい。
そんな状態では医師も時間かけての全身検索が十分できずに原因病変を見過ごしてしまうことがまれにあるからだ。「自家感作性皮膚炎」は 突然発疹が全身に現れる時には比較的多くつけられる病名だが、ではそれは具体的に一体何かと問われると明解に答えることは難しい病気である。
この疾患の特徴は、体の何処かに湿疹などの病気があるとそれが源となり、全身の皮膚に細かい発疹が生じることだ。しかし実際には、体や四肢の発疹にとらわれ源となる病変は無視されることが多い。水虫が原因になることもあり、また恥ずかしさから陰部に発疹があることを申告されないこともある。
何処かにある比較的ひどい湿疹(原発疹)が長い期間続き、それが体液(血液やリンパ液など)に入りこみ、全身の皮膚に到達、湿疹が起こりやすい状態を作り上げていくというのが臨床からみた説明だ。
従って、原発疹を治療するとそれらの発疹も潮が引くように消えてゆくのである。 次回はつづきと紛らわしい病気について説明していく。